自分がいやなにおいを発し、他人から避けられているという気がする

→自己臭症

自分がいやなにおいを周囲に発しているのではないか、という不安、確信をもつような病態を、自己臭症と呼び、思春期から青年期に比較的多く認められる疾患群です。この時期は、他者との距離にきわめて敏感になる年齢で、自己と他者とのあいだに適切な境界を形作ってゆくことが求められる時期でもあります。自己臭は、便臭、口臭、体臭などさまざまですが、外界への社会恐怖的な不安を投影するように生じる場合もあれば、体感異常のような身体違和感を併せて認める場合もあります。不安の領域に留まるケースもあれば、妄想的確信に至っているケースもあります。統合失調症の前駆症状として現れる場合や、うつ病や、強迫神経症に親和性のある場合など、鑑別の難しい病態も多く、専門医の治療が必要になります。薬物療法、精神療法により、臭いに捉われることのない安心感を取り戻していただき、他者との適切な距離感を築いてゆき、快復をめざします。

Comments are closed.