岡本太郎展

磐梯山を望む湖のほとり、
西洋の絵ハガキと見間違えるほど、
さっそうと建つ洋館が、
諸橋近代美術館だ。
常設されるサルバトールダリの作品の豊富さでも知られる美術館に、
あの「岡本太郎」展が来ているという。

 

  
「太郎」は、私の大好きな画家のひとりで、
大胆な構図、ユーモアあふれるデザイン、生命そのものの発露を思わせる色遣い――
絵画はもちろんだが、放たれる言葉も珠玉なのだ。
「瞬間に、生きろ。」と題された展覧会の、
こんな言葉に圧倒される。

 
「ところで一般に『爆発』というと、ドカンと音が響いて、物が飛び散り、
周囲を破壊して、人々を血みどろにさせたりイメージは不吉でおどろおどろしい。
しかし、私の言う『爆発』はまったく違う。音もしない、物も飛び散らない。
全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。それが『爆発』だ。
人間は本来、瞬間瞬間に、無償、無目的に爆発しつづけるべきだ。
いのちの本当のあり方だ。」
 

  
「うつ」というのは、自然な生命力の発露が妨げられている状態であるから、
苦しいときが、積み重なっても、
なんとか本来人が持ちうる、
自然な生命力の発露を、
見守りたい。
 
そんなふうに、
太郎から、
磐梯の山容から、
生命そのものを、
授かりたい。
 
「岡本太郎展」は、
6月30日まで。 
もちろん、ダリと精神分析の秘話も、
随所に散りばめられています。
 
 

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