人には人の掟がある。
遅ればせながらのアップであるが、
サケは今年も遡上していた。
4年前に
旅だったサケは、
母なる夏井川に、
戻り来た。
彼らは、
汚染水の現実を、
知っているのだろうか、
どうなのだろうか。
あるいは知っているのかもしれない。
彼らの身体的な、
現実として。
放精を終えたサケたちは、
静かに最期のときを迎える。
サケにはサケの掟がある。
人には人の掟がある。
けっして冒してはいけないはずの、
確かな掟が。
そんなことを、
想った。