フクシマとオキナワ~その1

11月の連休を利用して、沖縄へでかけた。
沖縄は、20代の頃に4年ほど住み、
離島への往診や、精神分析、芸術療法、ユタに代表される歴史ある治療文化を学んだ地であり、
私の精神科医としての原点でもあると同時に、
第二の故郷ともいえる土地だ。
何よりも住む人が、あたたかく、屈託なく、
当時まだいろいろな意味で
ささくれていた私を救ってくれた土地でもある。
  
震災後も一時期世話になり、
いまもなお毎年何度か訪れないわけにはゆかない。
        
今回のテーマは基地問題で揺れる、
名護市辺野古地区。
2007年に発見されたという
アオサンゴの巨大群落を
どうしてもこの目で見たかった。
   

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ここが辺野古地区大浦湾。
右手にはキャンプシュワブ。
海上保安庁の巡視船が沖には数多く見えた。
仲間の助けを借り、東風を押し切り、およそ400メートル泳ぎ、サンゴ群落をめざす。
   
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浅場にはテーブルサンゴも敷き詰められている。
さらに沖へと泳ぎ進む。
   
    
広大な大浦湾で、ピンポイントでサンゴ群落を探し出すことは難しい。
風と波に揺られながら数十分、
ようやくリーダーが短く叫んだ。
「ここだ」
深まりゆくポイントを潜水し、仰ぎ見ると、
城のように連なるアオサンゴが現れた。
沖縄の仲間に大感謝だ。
    

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ところどころうねり、トンネルを作り、
自在に湧き上がる造形美に圧倒される。
スズメダイやフエダイたちのねぐらでもあり、
巨大な遊び場でもある。
  
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およそ1億3700年前から、
この地球上に存在していたとされるこのサンゴは、
私たち人類の大先輩だ。
わずか7年前に発見されたというのだから、
私たちがこの地球について知り得ていることなど、
ほんのわずかのことなのかもしれない。
  
陸に上がるとキャンプシュワブのゲート前では、
基地移設反対を訴える人々が座り込み、警察隊と対峙していた。
くしくも先週、移設反対派の翁長氏が当選したばかりである。
同じようにバリケードが張り巡らされた、
福島第一原子力発電所周囲のものものしい空気と重ならないはずはなかった。
国策に翻弄される苦しみも含めて。
   
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違うのは、手を振り返す明るさだろうか。
かつて比類なき苦しみを強いられた沖縄の土地の、
ある意味、太陽のようなつよさなのかもしれない。
   
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夜は同じ辺野古地区にある、
「じんぶん学校」に泊めていただく。
電気も、ガスもないこの施設は、
食事も竈での火起こしからはじめるという。
震災後、とある映画が縁で巡り合った場所なのだが、
念願かない、
今回宿泊できることになった。
  
集落から奥まった山道を車がひっくり返りそうになるくらいガタガタいわせながら延々と進み、
ゆきどまると今度は獣道を30分ほど下りなければたどり着けない場所でもある。
    
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ここからさらに降りてゆく。
眼下の浜に学校はある。
息を弾ませ、夕暮れを急ぐ。

  

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