第1回Jヴィレッジマラソン

東京オリンピック聖火リレーのスタート地点にも選ばれた

日本サッカーの聖地Jヴィレッジで

今回が初めてとなるハーフマラソンが行われた。

前日入りし、朝日を拝み、いざスタート。

4年前

拙著「回復するちから」を上梓した頃には

まだこのスタジアムも廃炉のための前線基地で

楢葉町への人々の帰還もはじまったばかりだった。

ところどころの田んぼには

稲刈りのあとが残り

廃棄物で覆われていた大地にも再び人の手が入り

息を吹き返した感慨がある。

楢葉町は

「笑みふるタウン」として生まれ変わり

多くの方々から声援をいただき足も進んだ。

子どもたちも街には戻り

ありったけの声で

「がんばれ~」

とうれしくなり

また早足になる。

海岸線(広野小高線)は新しく整備され

まだ車は通っていないようだが

今回初めて一般解放されたとのことで

気持ちよく走らせていただいた。

あたりは広範囲に植樹され

防潮林としての生育がはじめられ

視界を遮る防潮堤に頼るのではなく

海を見渡せるのはすばらしい。

広野町駅前の賑わいを過ぎ

いよいよゴールは

Jヴィレッジスタジアム

順位はこの年代中

271人中265位とギリギリでも

完走後のマミーすいとんは格別

なつかしい味だ。

かつて日本代表のトルシエ監督がその名付け親だという。

そして

この大会で多くの帰還された方々から声援をいただいたなかで

もっとも感謝しなければならない方がいる。

スタート直後

突如おなかに痛みを感じた私がスタッフに問えば

トイレはまだ5㎞も先なのだという。

スタート時間に慌てるあまり

用を済ますのを忘れていたのだ。

「もうだめだ」

リタイアを目前に感じたそのとき

無我夢中で痛むおなかを抱え

沿道の方にお願いすると

飛ぶように真新しいおうちの玄関扉を開け

きれいなおトイレを貸していただいた。

ほんとうに助かりました。

おかげで完走できたのです。

ありがとうございます。

人の情けが身に沁みました。

今年最大の僥倖でした。

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