(年をとって)物忘れがひどくなった・涙もろくなった・怒りっぽくなった

→認知症あるいはその周辺症状。または老年期うつ病など、この時期特有の疾患

かつては環境を調整し、経過を見守ることが主な加療であった認知症についても、積極的な治療が可能な時代となりました。認知症による物忘れの進行を予防する薬剤として、従来から使用されていたアリセプトに加え、レミニール、リバスタッチ、メマリーと、それぞれ特徴を異にする薬剤が出そろい、ケースに応じた投与ができるようになったのです。当院では認知症治療の専門機関として、妄想や不眠、徘徊といった周辺症状の治療を含め、進行状態を適切に評価し、環境調整を含めた総合的な加療を行ってゆきます。特に注意しなければならないのは、老年期のうつ病であり、無関心や物忘れなどのうつ症状が認知症の初期症状と見間違われ、適切な加療がなされていない場合が多いことです。うつ病は回復可能な疾患であり、抗うつ剤を中心とした加療によって、比較的すみやかに改善します。物忘れや意欲低下に、不眠、食欲不振などを伴う場合は、うつ病の存在を疑い、適切に加療することが大切です。そのほかにも、せん妄や、正常圧水頭症など、認知症に似た症状を呈する疾患のなかには、治療可能なものも含まれ、画像検査や薬物の副作用など、総合的に判断し、鑑別診断を行い、治療してゆくことが重要です。

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