夏の終わり

      
この夏、四倉海水浴場が、震災後はじめて海開きとなった。
                                                                


                             
沖縄の友人を案内すると、
ひとあし入り、すぐに飛びあがり、
その冷たさに驚いていたが、
                                                                         
真夏の太陽のもと、
子供のころから、
この水温が大好きだ。

                                                                           

炎天下に、
頭からしゃっきり
トマトかキュウリみたいに冷され、
身も心も透き通るように、
気持ちよい。
                                
                   


                                  
         
そして四倉といえば、
砂浜です。
ひろい、ひろい、日本一。
砂もとてもきめ細かくて、
だれでも子供なら、すぐさまサンドアーチストになれる。
水際に、
海水の浸食に負けない堤防とトンネル、
自分だけの城をつくるのだ。
               
                       

                                                                               
平では七夕祭りが例年以上に
盛況で、
                                                                                                  
お盆にはところどころで、
じゃんがらの鐘が鳴り響く夏。
                                            
         


                                   
 
夏井川の灯篭流しも、
鎮魂の花火も、
無事終わった。
                                                                                         

汚染水漏れがレベル3の何兆ベクレルと実感のない
数字で示されても、
ぴんと来ず、
テレビを消し、
じゃんがらの鐘の音、彼岸へのともしび、
しゃっきりとした水の冷たさ。
                                  

自分たちの
自分たちに
受け継がれる感覚は、
幾つになっても変わりようがなく、
生きて在る限り、
いやそれから先もきっと
この土地とともに、
損なわれはしない。

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