サケの遡上
11月の晴れた日曜
富岡川へサケの遡上を見るために出かけた。
いわき市の夏井川
楢葉町の木戸川に上るサケは、
毎年観察にでかけていたが
福島第一原子力発電所にほど近い
富岡川へ出かけるのは震災以降はじめてのことだ。
河口から
ぱしゃ、ぱしゃ
と時折水面が乱れ、
サケは変わらず遡上している。
サケは4年で
母なる川に回帰するといわれているから、
震災後も産卵と遡上は損なわれていないことになる。
さて地元の方の許可を得て
自然大好きの友人と川に潜れば
川べりに
ひっそりと
メスが産卵する場所を探し、
婚姻色に彩られたオスがなわばりを守るように
川全体をぐるぐると回っている。
近づくが
オスは動きが異常に速すぎ
とてもカメラには収めきれない。
命がけの
まさに野生を感じさせるスピードだった。
ようやく動きの遅い個体を見つけるが
息絶え絶えで
役目を終えたオスなのかもしれない。
自然のサイクルは変わらない。
およそ1メートルに達する鯉や
大きなウグイも群れをなしている。
なつかしい
モクズガニにも出会えた。
ハサミを振り上げ威嚇してくる。
子供のころ
獲って帰ると
めずらしくほめられたことを思い出す。
ゆでれば
すぐ真っ赤にそまり
残酷だが
たぐい稀なおいしさであることは
この年になってようやく分かることだ。
水温10度に満たない川は
寒かったけど
楽しかった。
天神岬の温泉に
1時間以上長湯したのもはじめてのことだ。