(人間関係やトラブルなどのストレスがあって)仕事に行けない・学校へ行けない
→適応障害・不登校
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一般に、強弱さまざまのストレスによって、不安や緊張、抑うつが生じ、社会機能や行動に支障を来たすような状態を、適応障害と呼びます。なんぴとも、社会への適応を強いられるがゆえの、現代を象徴する病名ともいえるでしょう。小児の場合は、何がストレスであるか自覚できないケースも多く、腹痛や頭痛などの心身症状や、夜尿や指しゃぶりなどの退行症状として現れます。治療としては、まずは問題となっているストレスを把握し、極力軽減できるような環境調整を行い、緊張を解き、こころの余裕を取り戻していただきます。心身がラクな状態になったところで、ストレスに対処できるような工夫をしてゆくことになります。必要に応じ、会社や学校と連携を取り、環境調整してゆくことも大切です。職場であれば、休職の要請や勤務体制の見直しなど、学校であれば、原因となる人間関係の調整や、保健室等を利用した段階的な登校への試みなど、具体的な策を実施してゆくことになります。最近は特に、不登校の診察依頼が急増しておりますが、多くのケースで、本人は、行きたくても行けないという、苦しい思いのさなかにいます。苦悩と過緊張がつづくあまり、深刻なうつ状態に進行する例もまれではありません。無理に登校をつづけるよりも、一度ストレスから身を守り、こころの余裕を取り戻すことが必要な場合も多いです。こうした意味では、休職も、不登校も、本人の心身を守る意味で、大切なものです。治療により、ゆとりとくつろぎを回復したうえで、再びチャレンジしてゆけばよいのです。特に、不登校が問題となる思春期は、こころとからだが急速に成長するときですから、こうした状況から回復し、自信を取り戻してゆけることが、挫折を乗り越え、将来を切り拓いてゆく底力を身につけるという意味でも、きわめて重要です。