いわき市精神科病院診療所連携講演会にて

3月13日に開催された、いわき市精神科病診連携講演会にて、「開院後3カ月を過ぎての当院における精神および心身医療」について、特別講演という形で話をさせていただきました。特にこのところ増加する児童、思春期における心身医療の要点に加え、震災後に生じた精神症状からの回復過程について、重点的に話しました。座長の労を賜ってくださった舞子浜病院院長、本田教一先生からは、「先生はなぜ、児童思春期の加療に精力的に取り組まれているのですか」と質問を受けると同時に、「私はね、実はね」と自らが思春期に悩み、苦しまれた経験こそが、本田先生の思春期加療の原点にあることをお話しくださいました。こうした自身の経験こそが、いわき市における児童、思春期治療の第一人者である本田先生を、この分野に向かわせた動機であったことを知り、胸が熱くなりました。私自身も、思春期ならではの身体症状や神経症症状に苦しんでいた時期があります。そしてこの症状と、どう向き合ってゆけるかが、児童、思春期加療の要点です。症状の意味を読み解き、自らの心身というものを客観的に把握してゆくための、糧とします。さらに思春期に信頼できる大人に出会い、安心という形で、こころやからだに表れる症状を乗り越えてゆくことが、大人になって発症する心身の疾患を、確実に予防するのも事実です。よって思春期に悩み、苦しみ、心身に表れる症状を、ネガティヴな視点だけで捉えてほしくないと、私は常々思うのです。震災後の心身の回復については、3.11から1年を過ぎたいまなお、というかいまからこそ、さらに向き合ってゆかなければならない問題と思います。原子力災害により故郷という身体の一部を奪われるとはどういうことなのか、ひきつづき考えてゆきたいと思います。長くなってしまいました。失礼致します。

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