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想像するちから~その2

Posted in コラム on 9月 20th, 2016 by ichiro – 想像するちから~その2 はコメントを受け付けていません

精神神経学会でご講演をいただいた
松沢氏のもうひとつの実験。
パソコンで0.5秒間という瞬時に表示された数字の場所を
数字が消えてから
記憶だけをたよりに
1から10まで
指で順にたどるというもの。
   

チンパンジーにはいとも簡単にできるこの実験が、
人には誰ひとりとしてできないのだ。
たとえ優秀な京都大学の学生の誰もが。
   

野生に生きるチンパンジーは、
瞬間、瞬間の記憶に長け、
人は長期記憶(たとえばエピソード記憶)とともに生きる。
この周知の事実が実験でも確かめられる。
   

神が人間を作り出したとする西洋人には、
にわかに受け入れられなかった実験とのことだが、
チンパンジーのほうがある部分では
ヒトよりすぐれた能力を持ち合わせているのだ。
こと瞬間記憶に関していえば。
しかしながら赤色を「赤」という単語に、
青色を「青」という言葉に結びつける実験となると、
チンパンジーはたちまち苦闘する。
   

人は言葉を生み出し、
概念を形成することができるから
今目の前にないものを、あるかのように想像することができる。
たとえば「赤」と青色で書かれた文字から、赤色を想像することができる。
  

言語は記憶を構成し、
よくもわるくも人間固有の財産、能力となった。
  

しかし言語による(あるいは言語以前の)記憶力、想像力は
ヒトにかけがえのない能力だが、
過去や未来という時制を生みだし、
後悔やフラッシュバックさえときには生じてしまう。
かなしみや苦しみの源泉となる。
  

臨床をしていると、
そんなことに日々気づかされる。
  

特に震災後は
圧倒的な喪失体験が多かったから、
ヒトは苦しみとともに、生きざるをえない。

いまここに
この瞬間を安心して生きることが
治療には欠かせないのだが
後悔や悲哀、フラッシュバックや恐怖に苛まれるのも
ヒトの想像力のなせる苦しみが故
避けて通れないものなのかもしれない。
   

だからこそヒトという種族は
死者を弔い、
死者とともに生きる。
   

死という絶対的な苦しみとともに、
生きざるをえない。
   
  
しかしこうした言語と身体の結び目にある
人固有の必然的な苦悩、
死というものといかに向き合い
いかに受け入れるかの覚悟を持つとき、
想像するちからは
過去(の苦しみ)や未来(に訪れる不安)という時制の呪縛から解き放たれ、
自由に羽ばたき、
いまを生き抜く、
新たな視点を開くのかもしれない。

そう信じて、
(さまざまな外傷が生む)記憶に取り組む。
  

身体をのばし
リラックスし
心地よさを感じる。
   

いまを生きるコツは
このかけがえのない
取り換えのきかない
身体性からの
出発にある。
   
   
次回は
養老孟司氏の「意識の博物学」
と題された講演から。

想像するちから~その1

Posted in コラム on 9月 13th, 2016 by ichiro – 想像するちから~その1 はコメントを受け付けていません

少し前のことになるが
千葉県は幕張メッセにて開催された、
第112回日本精神神経学会に参加した。
  
多くの演題が同時並行されるなか、
松沢哲郎氏の「想像するちから~チンパンジーが教えてくれた人間の心」と
養老孟司氏の「意識の博物学」と題された特別公演は
群を抜いてすばらしかった。

松沢氏は京都大学にて生後まもないチンパンジーと30年以上、生活をともにし、
そこから得た知見をいかんなく話してくださった。
    

とくに印象的だったのは、チンパンジーとヒトの赤子の比較。
ヒトの赤子があおむけで寝ることができるのに対し、
チンパンジーの赤子はあおむけの姿勢にされると、
左足と右手、あるいは右足と左手が、宙に挙上してしまうのだ。反射的に。
これは何を意味するのか。
チンパンジーは生後数か月、母親にしがみついて生きるしかない。
ヒトはあおむけで寝ることにより、
母と、見つめあい、微笑みあい、声のやりとりをすることができる。
この原初の感覚が、
ヒトが人として生きてゆくスタートになり、
チンパンジーとヒトを分かつ決定的な違いになるのだという。
    

いわれてみれば日々の診察においても、日常生活においても、
より鋭敏に知覚するのは、言語としての意味より先に、
トーンとしての「声」であり、
その方の雰囲気としての「まなざし」であるのかもしれない。
ジャックラカンは「対象a」という概念を示し、
人間が人間であるがゆえの根源的能力~幻想の成立に、
この「声」と「まなざし」をあげているが(他には乳房と糞便)、
これらは他者と自己が渾然一体となった赤子時代にその端を発している。
そうして母なる原初の他者と「声」と「まなざし」を交わすことにおいて、
人ならではの安心感を共通言語のように醸成し、
ヒトという種族は基本的な信頼感に支えられることによって、
やがては言語の世界へ参入し、
コミュニケーション能力を発展させてきたのだろうと。
    

臨床場面に置き換えれば、
人は反対に不安な状況下に置かれると、他者からの注察感、声の幻覚を生じやすい。
見られる恐怖、他者の脅威にさらされる。
よってすべての精神科治療の根幹に、その方が身近な他者との関係において、
まずは安心できる環境を取り戻す必要がある。
私が臨床のなかでもっとも大切にするもの、安心感。
この基本中の基本が思い出される。
理屈ではなく、声とまなざしに守られた、安心感である。
それがあってはじめて人は、
自由に、のびのびと、
前へ進むことができる。
    

長くなりました。
次回は松沢氏のもうひとつの実験について。

夏の終わり~福島から

Posted in ブログ on 9月 13th, 2016 by ichiro – 夏の終わり~福島から はコメントを受け付けていません

郡山市への出張がてら
喜多方市へも足を伸ばした
  
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以前から行きたかった
三の倉高原のひまわり畑
  
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喜多方駅前からバスが出ていて
30分ほどで到着できた
  
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いつもは苦手な蜂さえも
いとおしく見える
  
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暑いなか
乗り継ぎの30分で
やはりこれ
  
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この店はねぎも美味とあり
ご当地喜多方ねぎラーメン
   
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別の日には
やはり仕事帰りに前から行ってみたかった
三春ガイナックス
「特撮のDNA展」
  
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ここは廃校を利用し
福島から世界への発信をめざす
アニメの制作拠点
いまはゴジラの企画展を催していて
子どもたちの粘土作品もすてきでしたね
  
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そしてお土産に買ってしまった
フォルムが見事な
ゴジラ、メカゴジラ、キングギドラ
名前を呼んでもわくわくしますね
小さいころ
こうした人形を飽くことなく
戦わせていた日々を思い出します
いや人形は買えず
ゴム消しでしたね
消しゴムを相撲みたいに戦わせるやつ
ガイガンや、ラドンなんかも
つよかったですね
さらにはエレキングやレッドキング~
こうなるともうウルトラマンです
どちらも手掛けた
特撮の父
円谷英二は福島県須賀川市生まれ
最新の「シンゴジラ」のCG技術も見事と聞きますが
やはりこの特撮の苦労、手づくり感は
夢とロマンに満ちてますね。

9月の土曜日の診療について

Posted in お知らせ on 8月 30th, 2016 by ichiro – 9月の土曜日の診療について はコメントを受け付けていません

9月の土曜日の診療は、
17日に行います。
  
3日、10日、24日は休診となります。
よろしくお願いいたします。

暑いですね

Posted in ブログ on 8月 9th, 2016 by ichiro – 暑いですね はコメントを受け付けていません

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暑い、暑いと思ったら、
クリニック裏山の松が岡公園にも
入道雲が湧き上がってますね。
   
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松が岡公園下の蓮池も
最盛期を迎えようとしています。
  
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蓮の花は
大好きなのですが、
撮り方が難しいですね。
それでも最近の携帯は
なかなかのものです。
  
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池のほとりには
子供たちの姿が。
しばらく待っていると、
歓声があがり、
おお
ざりがに。
なつかしい。
こんなところにもいたんですね。
  
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そして昨日で無事
たいらの七夕も終わりました。
今年は本当に暑かった。
    
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ワタナベの飾りには
よく見れば
「50」の文字と
いわきのマーク「い」の字が両側に。
小名浜の花火大会でも、
いつもの倍の2万発のあいだに、
伝説のデパート「大黒屋」のCMが流れました。
(いわきで唯一?
お子さまランチが
ショーウィンドウに並んでいたのを
記憶しています)

U15少年野球の世界大会
(日本は惜しくもキューバに敗れ、準優勝!)
も開催され、
市制50周年を記念すべく
にぎやかな
いわきの
盛夏を飾る
週末でした。

  

  

  

  

8月の土曜日の診察、ならびにお盆休みのお知らせ

Posted in お知らせ on 7月 31st, 2016 by ichiro – 8月の土曜日の診察、ならびにお盆休みのお知らせ はコメントを受け付けていません

8月の土曜日の診察は、
20日に行います。
   
6、13、27日は休診となります。
よろしくお願いいたします。
   
また
8月11日~16日は、
お盆休みを含め、
休診とさせていただきます。
ご不便をおかけしますが、
どうぞよろしくお願い申し上げます。
   

7月の土曜日の診療、ならびに休診などのお知らせ

Posted in お知らせ on 6月 28th, 2016 by ichiro – 7月の土曜日の診療、ならびに休診などのお知らせ はコメントを受け付けていません

7月の土曜日の診療は、
23日に行います。
   

2日、9日、16日、30日は
休診となります。
   
   
また
15日(金)、20日(水)は、
出張につき、
臨時休診といたします。
  
14日(木)、21日(木)、22日(金)は、
通常より診療時間を延長し、
夜19時半まで診察を行います。
  
ご不便をおかけしますが、
どうか診療時間をご確認のうえ、
ご来院いただければ助かります。
  
よろしくお願いいたします。。

6月の土曜日の診療、ならびに臨時休診のお知らせ

Posted in お知らせ on 6月 5th, 2016 by ichiro – 6月の土曜日の診療、ならびに臨時休診のお知らせ はコメントを受け付けていません

6月の土曜日の診療は、
  
25日に行います。
   
   
4日、11日、18日は休診となります。
   
   
また、
  
3日(金)、20日(月)は、
  
出張のため、
  
臨時休診といたします。
  
ご迷惑をおかけしますが、
  
よろしくお願い申し上げます。

風薫る、5月。

Posted in ブログ on 5月 16th, 2016 by ichiro – 風薫る、5月。 はコメントを受け付けていません

風薫る、
とはよくいったもので、
新緑の5月。
1年で、
もっとも風が心地よい季節かもしれません。
  

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というわけで連休明け。
クリニック隣の松が岡公園。
花見の賑わいは終わりましたが、
実はこの季節もよいのです。
   
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坂を上がればツツジの迷路。
あっちこっちに曲がりくねって、
どこにだって隠れられる。
缶蹴りにはサイコーですね。
毎日やってもあきなかった、
あの頃がなつかしいですね。
   

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隠れるのに夢中で、
こんなにもあざやかな色だったかどうか。
   

  
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リニューアルオープンした公園は、
遊具も整備され、
木洩れ日も心地よい。
   
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もともと汽車があった軌道で、
リレーに興じる家族を発見。
あそびを創り出す才能に、
こっちも元気をもらえますね。
  
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自分も負けじと
どこかで見たはずの草を発見。
でもどうやって遊ぶのか忘れてしまった。
これが月日というものか。
どうすれば
ぺんぺんと音が出るのか。
  
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そしてこの街を見下ろしてみれば
幼稚園のときに見た景色とどこが違い、
どこが同じか。
いずれにしてもこの本当に小さな平(たいら)の街が、
とてつもなく巨大な迷路に見えた時代もあったことだけは記憶している。
  
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坂を下りればクリニックを過ぎ
幼稚園跡地にいたる。
風にさそわれ、
こちらのつつじも見事だった。
年少のときに受け持ってくださった、
I先生もお元気とのこと。
先日お手紙をいただきうれしくなった。
これまでいろんな先生にお世話になったが、
必ずしもよい思い出ばかりではないなかで、
人生最初の先生がいまでも見守ってくださることは
少しくすぐったくも
ありがたい。
  

   

桜 さくら SAKURA

Posted in ブログ on 4月 29th, 2016 by ichiro – 桜 さくら SAKURA はコメントを受け付けていません

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クリニックの桜も無事咲きました。
   
  
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すぐそばの
松ヶ岡公園は震災後のリニューアルからようやく再開。
花見客で賑わいました。
(写真は宴前ですね。まだ夜はこれからです)
   
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足をのばし
去年に続き合戦場のしだれ桜。
  
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今年の桜は本当に早足。
夜の森のさくらはすでに遅かったですが、
こちらも被災地、
大熊町の坂下ダムは
ひっそりと満開を迎えていました。
  
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締めは大好きな古殿町
越代のさくら。
「あんちゃん。いいのあっぞ」
おんちゃんに乗せられて
屋台で買った
たらぼ(タラの芽)とうるいは
あとで
湯がいておいしくいただきました。
春のしあわせ。
  
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夕闇の越代のさくら。
横顔も美しいですね。
はらはらと
古殿の銘酒「一歩己」と
花びらと
やっぱり「たらぼ」は酢味噌で合いますね。

5、6月の土曜日の診療と、GWにおける診察日変更のお知らせ

Posted in お知らせ on 4月 19th, 2016 by ichiro – 5、6月の土曜日の診療と、GWにおける診察日変更のお知らせ はコメントを受け付けていません

5月の土曜日の診療は、
7日、28日に行います。
   
6月の土曜日の診療は、
25日に行います。
   

  
GWにおきましては、
5月2日を臨時休診とし、
5月6日の金曜日を
夜19時半までの診療日といたします。
  
よろしくお願い申し上げます。

4月の土曜日の診療について

Posted in お知らせ on 4月 5th, 2016 by ichiro – 4月の土曜日の診療について はコメントを受け付けていません

4月の土曜日の診療は、
9日に行います。

   
2日、16日、23日、30日は
休診となりますので、
ご了承願います。

震災から5年を過ぎて

Posted in ブログ on 3月 20th, 2016 by ichiro – 震災から5年を過ぎて はコメントを受け付けていません

震災から5年の節目。

いまの被災地をめぐるバスに乗った。
   
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道の駅よつくらに停車。
大がかりな堤防工事が進められ、
子供のころからよく遊んだ、
海が見えなくなるのは残念でならない。
  
   
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つづいて久ノ浜の浜風商店街。
仮設の商店街は小学校の目の前にあり、
なんと駄菓子屋もあるではないか。
   
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小さな男の子が買い物に来ていた。
よく見れば
垂涎もののプラモも並ぶ。
とても仮設とは思えない、
すばらしい品ぞろえ!  
  
    
    

   

   
続いてバスは北上し、楢葉の「ここなら商店街」へ。
ここもプレハブの商店街で、
昨年9月にようやく避難指示が解除され、
自宅に戻ることのできた人たちや、
原発あるいは除染作業員たちでにぎわっている。
     
     

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この日はおまわりさんも
休憩時間。
こうして制服で買い物することにより、
治安維持効果をも期待されている。
       
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昼食はJヴィレッジの近く、
日本代表サッカーチームに帯同し、
彼らの食事を一手に引き受ける西さんの運営する、
アルパインローズでいただいた。
   
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根菜がたっぷりと入った、
すいとんがうまかった。
ここ楢葉の郷土料理で、かつての代表監督トルシエが母の味と絶賛してから、
「マミーすいとん」と呼ばれているそうだ。
案内役を務める、福島大学の開沼氏が、
「若いんだから、食べれっかい」
「……あ、はい」
と参加者の方々に食べきれないごはんをすすめられ、
しっかりと食べておられるその若さと、真面目さにうれしくなった。
     
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午後の陽のまぶしい天神岬。
望遠鏡の先には、
洋上に設置された
浮動式大型風力発電の風車がまわる。
汚された土地を、
再生エネルギーの基地としても再起する計画は
はじまったばかりだ。
  
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北にはフル稼働する
火力発電所と、広大な土地に汚染廃棄物が敷き詰められている。
  
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バスは富岡まで、北上する。
駅前の商店街も駅自体も撤去され、
低線量の廃棄物は、日々焼却処理される。
海辺に建つ白い建造物が、臨時の焼却施設だ。
   
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国道に近いショッピングモールも、
以前訪れたときは荒れ果てていたが、
なかを覗き込むと掃除がなされ、
早ければ、来年4月の帰還に向け、
今年中に営業を再開するという話も聞く。
富岡町では、この3月には特例宿泊が開始されたが、
しかし申し込んだ住人は1%に届かないのが現状だ。
    

   
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津波から避難誘導し、
殉職された警官が乗っていたパトロールカーが、
真新しい慰霊碑とともに、祀られていた。
震災後、5年を経ても、
なまなましい感触は、
拭えない。
   
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帰り道、
地物を扱う水産業者を訪れ、おみやげタイム。
市の魚でもある「目光」を含め、
数はまだ少ないがいわき産の魚介類が、流通し始めているのを実感できた。
試験操業の対象魚種も72に増え、実際に地物を見るのはうれしい限りだ。
メヒカリは唐揚げも刺身もうまいが、開いて一夜干しにするとおどろくほどうまい。
    

バスのなか、
昨年も一昨年も福島県産米の全袋検査で、
放射能の検出がゼロであることなど、
開沼氏の講義も熱を帯びた。
  

   
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3月11日当日は、
いわき駅前にて、
鎮魂の合唱が捧げられた。
地元中学生の歌声が、
寒空に響く。
思えばあの日も、
寒い夜だった。
富岡町夜ノ森地区の桜並木を模した
アーケードのイルミネーションも点灯され、
それぞれがそれぞれの
6年目を迎える。

   

    

3月の土曜日の診療について

Posted in お知らせ on 3月 5th, 2016 by ichiro – 3月の土曜日の診療について はコメントを受け付けていません

3月の土曜日の診療は、
12日に行います。

    
5日、19日、26日は休診となります。
よろしくお願い致します。
   
   

第7回いわきサンシャインマラソン

Posted in ブログ on 2月 16th, 2016 by ichiro – 第7回いわきサンシャインマラソン はコメントを受け付けていません

去年に続き雨のなかでの開催となってしまったが、
第7回いわきサンシャインマラソンがはじまった。
41都道府県から、1万人の参加があるというから、
地元いわき民にとっては、うれしい限りだ。
この3回、雪、雨、雨となってしまったが、
リピーター率が高いと聞き、本当にありがたい。
  
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そうか。
今日はチョコの日。
まずはお義理をひとつ、ありがたく頂戴します。
  
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昨年友人が、かぶりものをして子供たちに声をかけられ、
楽しかったということなので、
今年はアマゾンで手に入れたシロクマをかぶってみることにしました。
お見苦しいですが、ご容赦ください。
  
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いよいよスタート。
かなりの南よりの向かい風です。
  
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中の作港を抜けて、江名漁港。
大漁旗は昨年同様、迫力あります。
  
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途中の海岸線は、防潮堤の工事が進められている。
津波から集落を守るためだろうが、海が見えなくなるのは、やっぱりさびしい。
このいわきで生まれ育ったものにとっては。
  
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海は見えぬが、海沿いをすすむ。
  
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工事はかなり広範囲だ。
  
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三崎公園の心臓破り。
マリンタワーをめざし、走れないので、歩きます。
  
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上り切った休憩所に、
サンシャインマラソン名物、
イチゴとトマト。
どちらもフレッシュでサイコ―です。
大ぶりで、太陽のトマトとも言われています。
  
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水族館、アクアマリンふくしまを抜けていくころ、
雨もやみ、絶好調といいたいですが、
もう足が痛い。かなりつらい。
  
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ひきずるように、歩いてはちょびっと走るの繰り返し。
  
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すると終盤、サンバのリズム。
「風に~風に~なり~たい」
なつかしい。好きな曲だ。もうひとふんばり。
  
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「がんばれ~」
「がんばれ~」
「シロクマさ~ん」
地元ダンスチームのこどもたちが、はち切れんばかりの声で応援してくれる。
「ありがとうね~」
汗だくでもかぶりつづけた甲斐があった。
心理士「じばにゃん」への声援の数には負けたが、
わがシロクマもいくどとなく、励ましをいただきました。
ついに子供たちの声援が、青空を見せてくれたみたいですね。
  
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そしていよいよゴールが見える。
もう走れないけど、6時間にはなんとか間に合いそうだ。
  
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看護師さんもがんばりました。
もう歩くのも無理です。
ご声援を、本当にありがとうございました。

  

オープンダイアローグとは何か

Posted in コラム on 2月 16th, 2016 by ichiro – Be the first to comment

さる2月5日、精神科医として出身大学の先輩であり、
精神分析家としては多数の著作を発表していらっしゃる、
現筑波大学医学医療系社会精神保健学教授の斎藤環(さいとうたまき)氏がいわきに来られ、
「若者の不安と軽症のうつ病」というテーマで、特別講演をしてくださった。
  
多様化するコミュニケーション能力(コミュ力というらしい)重視の社会において、
現代の若者の生きづらさ、他者への承認欲求とその屈折、
孤立する恐怖などが具体的に語られ、
社会への不適応という形で軽症の抑うつが生じるという点は、
人が、社会という他者とどう出会い、
生き抜くちからを身に着けてゆけるかという、
思春期の問いにもつながると思われた。
  
講演のあと、
氏の近著「オープンダイアローグとは何か」
についても語る機会を得ることができた。
  
「オープンダイアローグ」というフィンランド発の治療実践は、
著書によれば、重度の精神病を患う患者さんや心的外傷に苦しむ患者さんに対しても、
投薬ではなく、開かれた対話によるアプローチ(オープンダイアローグ)を用いる画期的な試みである。
治療者あるいは治療チームが(例えば薬を飲みなさいなどの)指示的なモノローグで接するのではなく、
お互いの感情表現を含めた、相互の対話が芽生える、生きた場によって展開される治療である。
  
斎藤環氏はこの最近、この治療チームを実践されて、
臨床にも取り組んでおられるとのことだった。
以前お会いしたときにも精神科治療における、
「人薬」の重要性を話しておられたことを思い出す。
科学物質である薬物だけに頼るのではなく、人と人との関係性が
精神疾患の治療にはもっとも大切とする治療姿勢に、
一貫した潔さを感じたのは私だけではないだろう。
  
それぞれが「限界のある身体」をもった生身の人間であるということを踏まえ、
著書にはこうも記されてある。
ミーティングの参加者である私たちの体験は、対話主義的な同調によって与えられる。
それは「存在の一回性の出来事」において肉体を与えられた者どうしに起こる特別な瞬間である。
    
このあたりは実感として、共感できる。
個人精神療法の場でも、
こうして他者である患者さんの感情体験に、深く共感、同調できる瞬間があり、
それはしばしば治癒への重要な転機となる。
    
やや難解なシステム論で有名なマトゥラーナが
こんな言葉を残していることにも驚かされた。
「体験可能な唯一の孤独の超克は、他者との合意の上になりたつ現実、
すなわち愛を通じて成し遂げられます」
さらに、愛の感覚とは、意味を共有する世界に参加したことで生じる、身体レベルの反応のことである。
と続き、
子どもの神経生物学的な発達における、感情の共有体験や情緒的な対話が、
神経システムにおける自己統御能力の形成や言語獲得に向かうプロセスにつながっているとし、
学問的な根拠としていた。
  
なるほど、とうなずかされる。
児童思春期から成人にいたる過程において、
いかに身体性を欠いたコミュニケーションばかりが、はびこっていることだろう。
学校でも、職場でも、あるいは家庭でも、人間関係それ自体が、
モノローグ的な閉鎖状況から逃れられずにいるのかもしれない。
(あるいはネット社会に代表される、身体性から乖離したコミュニケーション様式へのとらわれ)
モノローグからダイアローグに開かれる場、いいかえれば感情体験が共有され、
支え合える場がどれだけ経験、実感できるかが、
人の安心、成長には欠かせないものなのかもしれない。
そんなことを連想しながら、著書を拝読し、氏(先輩)と話ができた時間をありがたく思った。

  

  

2月の土曜日の診療について

Posted in お知らせ on 2月 6th, 2016 by ichiro – 2月の土曜日の診療について はコメントを受け付けていません

2月の土曜日の診療は、
13日に行います。
   
6日、20日、27日は休診となります。
よろしくお願い致します。

新年のごあいさつ、ならびに1月の土曜日の診療について

Posted in お知らせ on 1月 3rd, 2016 by ichiro – 新年のごあいさつ、ならびに1月の土曜日の診療について はコメントを受け付けていません

気持ちよい青空となった元日は、
クリニック傍の子鍬倉神社に例年の如く参拝。
今年1年の安全と健康を祈願した。
  
おみくじは「小吉」
   

笑う門には幸(さいわい)来たる、
ねてもさめてもにこにこと
   

とある。

   
さすがに寝ても覚めてもは難しいかもしれませんが、
苦しいときこそ、いつもにこにこを心に留め、
一日一日を過ごして行ければ何よりです。
笑顔にはいつも、助けられます。
  
さて新年は4日から、
普段通り診療いたします。
  
1月の土曜日の診療は
16日に行います。

9、23、30日は休診となりますので、
ご了承願います。

新舞子ハイツ

Posted in ブログ on 12月 31st, 2015 by ichiro – 新舞子ハイツ はコメントを受け付けていません

珍しく新舞子ハイツまでの道のりを走った。 
いわき七浜の景勝地のひとつ、新舞子。
震災で被害を受けたハイツも、
ようやく今年
プールを含めほぼすべての施設が再開された。 
   
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平五小の前を通る道は、
中学のとき、
薄磯海水浴場まで
夏休みになるとほぼ毎日通った道だ。
中古だが、ようやく買ってもらった変速チャリ、
ロードマンを競い合って。
  
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途中、県道を右手に折れると、
小さな小川もまだ残されていた。

DSC_0416 (1)  
  
休憩するときは
なぜか自分はドクターペッパーを買った。
メローイエローや
マウンテンデューも懐かしいが、
どうしてかドクターペッパーの変な?味が好きだった。
つまみはたいてい
「よっちゃんイカ」か「ベビースター」
    
いまでも変わらぬ小路に商店はあり、
スプライトは
いまもなお現役だった。
  
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そして薄磯の帰りにハイツで風呂に
男子みんなで入るのが日課だった。
お互いがお互いの身体を意識しつつ、
チャリで競い、
海では泳ぎ、
サッカーでまた競い、
好きな女の子の名を語り合った日々。
  
黙々と走ると
ひまであるからそんなころを、
昨日のことのように思い出す。
  
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さて、ハイツでは新そば祭りだそうだ。
太平洋を眺める風呂上りに、
コシがあって実にうまい。
みなが腕をふるい合うそばを、
ワンコインでいただけるのもラッキーである。 
   
 

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ドクターペッパーは黒ラベルに変われど、
あの中学時代と楽しみは同じなのかもしれない。
人というのもそう大きくは、
変わらないものらしい。

12月の土曜日の診察、ならびに年末年始の診療のお知らせ

Posted in お知らせ on 12月 4th, 2015 by ichiro – 12月の土曜日の診察、ならびに年末年始の診療のお知らせ はコメントを受け付けていません

12月の土曜日の診察は、
19日に行います。
   
5日、12日、26日は休診といたします。
よろしくお願い申し上げます。
   
年末は12月28日
月曜日の午後5時まで診療いたします。
年始は1月4日
月曜日からの診察といたします。
  
なお12月22日は
火曜日のため休診日ですが、
臨時の診察日といたします。
よろしくお願い申し上げます。