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11月4日

Posted in ブログ on 11月 16th, 2014 by ichiro – 11月4日 はコメントを受け付けていません

11月4日は、久しぶりに一人、車ででかけた。
東京から、いわき、そして仙台までの海岸線をつなぐ、
国道6号線が、
震災による原子力発電所事故から3年半の期間を経て、
今年9月に開通された。
とにかく北へ、車を走らせる。
 
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木戸川。
避難指示の続く楢葉地区にある美しい河川だ。
鮭は、変わらず、遡上している。
ほっとする。
   
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国道6号線は開通したが、
常磐線は竜田駅まで。
その北に位置する富岡の駅はまだまだ痛々しい。
海岸までが、除染の黒袋で埋まっていたが、
逆にいえば、除染は進み、
町内のガソリンスタンドも営業を再開している。
  
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そしてこれまで通行禁止であった、
帰還困難区域へと入る。
二輪車は依然通行禁止で、国道をそれる脇道はバリケードで封鎖され、
警官が不審者を警備している。
   
かつてのどかな田園だったはずの土地は、
枯れ始めたセイタカアワダチソウで埋め尽くされていた。   
  
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そしていまも多くの作業員の方々が収束へ向けて、
困難な仕事に従事されている1Fの至近を通る。
線量計は通り過ぎるわずか1㌔圏内では高い数値を示した。
     
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浪江を過ぎ、南相馬市小高地区へ。
高校時代の級友が、
ここからいわきまで通っていた。
このあたりは津波の影響が色濃く残り、
セイタカアワダチソウさえ生えないのか、
海まで広く荒れた土地が、
手つかずにそのまま残っていた。
   
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相馬から内陸へ入り、霊山方面へ。
ようやく刈り取られた田んぼの風景に安堵する。
車を止め、紅葉の霊山を、ゆっくり歩いた。
中高年の登山者が笑顔を交わし合い、
青空は少しも変わりはなかった。
高台から見下ろせば
山と山のあいだの土地には、
汚染土の黒袋が集積されている。
  
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帰りは飯舘村から南相馬へ。
やはり避難指示の続いている飯館村は、
本当に美しい村なのだが、
黒い袋が荒れた田園風景に痛々しかった。
  
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故郷を奪われた多くの方々の、
怒りと悲しみが伝わってくる。
  
今年の夏から秋にかけて、
川内村のモリアオガエル、
竜田駅の開通式、
震災前の9.3%の入場者数にとどまった大好きな四倉海岸、
平の七夕、
小名浜の花火、
夏井川の灯篭流し、
川俣のフォルクローレ、
そして今日の木戸川、霊山、飯舘村。
いずれも一人で出かけ、
「福島」を歩いた。
変わらないもの、
変わりつつあるもの、
変わりゆくもの、
変わり果てたもの、
変わりようがないもの。
「復興」という言葉さえ、
ささくれなしには
受け取れないのもいまだに事実だ。
できることはもちろん、限られている。
        
11月4日は中学時代の、
クラスメートを亡くした命日でもあった。
2年前はあまりの多忙さにかまけて、
この日をすっかり忘れてしまった。
それはそれでよいのかどうか。
悲しみの記憶は人を苦しめるが、
人だけが悲しみを想い、
共有することができる生き物なのだ。
    
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そして豚丼。
かねてから多くの方々に噂を聞いていたが、これがそうか。
念願が叶った。
もとは被災地と平にあった老舗の鰻屋さんが、
震災後、見事に転身を遂げたという。
「並」「中」「大」とあり、「中」を頼むが、
これがはちきれんばかりのボリュームだった。
秘伝のタレと焼き具合が、肉にもマッチ。
これでもか、と盛られたご飯もどんどんいけた。
この地で働く多くの方の活力源だ。
ありがたい。
  
帰りは夜の6号線を南へ。
久ノ浜で渋滞するのも、聞いていた通りだ。
多くの人が、1日を終え、帰路につく。
暗がりに窓を開ければ、
波立海岸の潮の香りは、
変わりなく
そこにあった。

  

11月の土曜日の診療について

Posted in お知らせ on 11月 1st, 2014 by ichiro – 11月の土曜日の診療について はコメントを受け付けていません

11月の土曜日の診療は、
8日、29日に行います。
   
1日、15日、22日は、
休診といたします。
ご迷惑をおかけしますが、
よろしくお願い致します。

臨床心理士募集のお知らせ

Posted in お知らせ on 10月 21st, 2014 by ichiro – 臨床心理士募集のお知らせ はコメントを受け付けていません

当院では、
平成27年4月に心理カウンセリングルーム兼相談室を増設するにあたり、
臨床心理士1名を、増員する予定にしています。(常勤3名体制となります)
      
つきましては平成27年3月に心理系大学院を卒業見込みの方を含め、
来年度4月より当院にて勤務していただける、
臨床心理士さん(学会資格取得見込みの方を含む)を募集いたします。
      
主に児童思春期のカウンセリングや、心理検査、遊戯療法などを
担当していただくことになります。
      
詳しくは、
当ホームページお問い合わせフォームより、問い合わせ願います。  
  
どうぞよろしくお願い致します。
   
募集は終了いたしました。
また次年度以降の募集となります。
ご了承願います。
     
  

10月の土曜日の診察について

Posted in お知らせ on 10月 4th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

10月の土曜日の診察は、
11日に行います。
   
4、18、25日は休診といたします。
ご迷惑をおかけしますが、
よろしくお願い申し上げます。
  
   

地球交響曲

Posted in コラム on 9月 16th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

先月、明治神宮の杜で、地球交響曲第四番の上演があると聞き、出かけました。
地球交響曲(ガイアシンフォニー)は、1992年に第一番が上演されて以来、
現在第七番まで完成、今年冬には第八番が完成、上演される予定です。
ガイアシンフォニーは、自然と人間の共生を主題とし、
科学者や、芸術家、写真家、ときにはプロサーファーなど、
出演者の生きざまにスポットを当てることにより、
自然のなかの人間のありかたを問う、
ドキュメンタリーシリーズです。

これまでに、写真家であり珠玉の文章も遺された故星野道夫さんをはじめとして、
日本人の方も数多く出演されておりますが、
今回監督である龍村仁氏、第四番に出演された名嘉睦稔氏とお話できる機会もあり、
明治神宮の杜へ出かけました。
  
監督さんは、巨匠なのかと思い、こちら側がかまえてますと気さくな方で、
人間、あるいは地球の自然治癒力について主に話をすることができました。
名嘉氏とは、これまでも何度か、さまざまな機会にごいっしょさせていただいて、
まさに大自然の生命力そのもののような、作風と、人柄に、いつも圧倒されながら、
熱いパワー、エネルギーをわが身に、頂戴しています。
  
「個々人の生体がひとつの秩序、恒常性を持ったコスモ(小宇宙)であるように、
地球も大きな秩序、恒常性を持った宇宙である。
人あるいは、地球が、本来あるべき自然の姿で生きようとするとき、
その生命力がもたらす治癒力、回復力には、目を瞠るものがあるのだ」
        
人の身体あるいは精神が、本来持つ自然治癒力、回復力については、
昨年私も、「正常を救え」という本に出会い、書評を書く機会に恵まれて以来、
何かにつけ考え、感じ続けていることであり、共感して話をうかがいました。
人の本来備わる、治癒力、「正常なる」回復力を信じることが、何よりも精神科の治療に重要なのです。
  
このところの精神医学は、情報過多と、薬物療法を主とした科学偏重主義に偏り過ぎたきらいがあります。
もちろん科学としての医学が前提、必要条件ではあるのですが、それだけでは十分ではない。
昨今の精神医学が目指している、薬物療法、科学中心の単純な還元主義には、警鐘を鳴らす必要がある。
というのが、「正常を救え」という本の趣旨である。
万人に有効な薬というものは、ありえないからだ。
今はやりの言葉でいえば、エビデンス(科学的根拠)がある、治療法、薬物を選択するわけでありますが、
精神科の対象となる疾患というものは、個人個人において、疾病の詳細は異なり、
当たり前であるが、その人の育った過去、個人的資質、過去から現在における対人関係の様式、
現在のストレス、さらには意識化されていない葛藤が、症状として、現前している場合がほとんどです。
たとえば薬物ひとつにとっても、人それぞれにおいて、
効果や副作用の現れ方が異なるのは当たり前のことであるし、
規則正しい服薬をしたからといって、それだけで改善するという単純な図式ではありません。
なぜ症状が現れたのか、その背景を捉え、ストレスや周辺環境、人間関係、
あるいは自身の考え方や物事の癖のようなものを、少しずつ調整し、改善してゆく必要があります。
自覚をもって、自分が主治医になるつもりで。
そうして自分自身を追い込まず、リラックスできること。
こころに余裕を取り戻すこと。
簡単でない場合もありますが、こうした道程を辿ることで、
その人それぞれが本来持っている、自然治癒力が喚起され、
症状は緩和され、生きて在るよろこびを感じられるようになり、
精神、あるいは心身の病は、快方へと向かうわけです。
   
老若男女、心身の病は、そういう意味では誰にでも起こりうるものです。
人間とは、常にストレスや葛藤に曝されて生きてゆかざるを得ない、ある意味特殊な生き物ですから、
これは避けられないものなのかもしれません。
しかし、病に陥ったときこそが、次なる回復へのスタートでもあるわけです。
    
地球交響曲は、生命が、あるいは地球が、本来の姿を取り戻し、
回復してゆくための道標のような映画です。
そこには美しい映像と音楽に加え、
さまざまなシンクロニシティを含めた、
不思議な世界観が展開されます。
この冬の第八番の公開を楽しみに、
私も日々の臨床を進めてゆきたいと思います。

初めて受診なさるかたへ

Posted in お知らせ on 9月 8th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

当院では、少しでも混雑を和らげるため、
初診、再診とも予約制で診療いたしております。

特に初めて受診されるかたにつきましては、
より多くの診察時間を必要とするため、
1日にお受けできる時間枠に限りがあり、
せっかく当日窓口に来院していただいても
お断りせざるを得ない状況が増えています。

本来、受診を希望されるお日にちに、
なるべく早く診察できればよいのですが、
このような事情をご容赦願えれば助かります。

初診のかたに限りましては、
混み合っておりますときは、
最短でも、1~2か月程度先の予約になることもございますので、
どうか初めての受診を希望される場合は、
診療時間内に、お電話にて、お問い合わせ、ご確認のうえ、
ご予約いただけますと幸いです。

また予約後にご都合により、
受診できなくなった場合は、
なるべく早めにキャンセルの電話をいただけますと、
他にお待ちの初診のかたを
少しでも早くお受けできますので、
大変助かります。
どうかお手数ですが、よろしくお願い申し上げます。

9月の土曜日の診察について

Posted in お知らせ on 9月 2nd, 2014 by ichiro – Be the first to comment

9月の土曜日の診察は、
20日に行います。

6、13、27日は休診となります。
ご迷惑をおかけしますが、
よろしくお願い致します。

8月の土曜日の診療、ならびにお盆休みのお知らせ

Posted in お知らせ on 8月 4th, 2014 by ichiro – 8月の土曜日の診療、ならびにお盆休みのお知らせ はコメントを受け付けていません

8月の土曜日の診察は、
23日に行います。
どうぞよろしくお願い致します。

お盆休みは
8月13日から17日です。

なお8月12日は、火曜日のため
本来休診なのですが、
通常通り、10時から19時半まで診察いたします。
よろしくお願い致します。

モリアオガエル

Posted in ブログ on 6月 7th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

うまわるや 
森の蛙は 
阿武隈の 
平伏の沼べ 
水楢のかげ
     
梅雨入り前の日曜日、
草野心平の詩に誘われるように、
いわき市の北西に位置する川内村は平伏沼(へぶすぬま)に出かけた。
  
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山頂に近い
森の奥の路を抜けると、
  
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小さく
静かな
沼に行き当たる。
  
畔は、
わずか5分で一周できるほどで
青い胴体の糸トンボが飛び交い、
まったくの無音のあいだに
ぐう、ぐうとカエルの声。
  
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目を凝らせてみればミズナラの陰に、
無事に産卵しているではないか。(画面右上)
と足元から
ぽちゃんと飛び込む、
アオガエルの背を垣間見る。
  
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梅雨に入ろうとするこの時期、
卵をいっぱいにおなかを膨らませた一匹のメスガエルに
多くのオスガエルが集まり、樹上で産卵する光景は、
初夏を告げる、平伏沼の、祭祀のようなものかもしれない。
一時期は絶滅寸前に追い込まれたこのアオガエルの繁殖地だが、
ひとびとの努力で、昨年は100以上の卵塊が、
この沼の畔で、確認されたと。
発泡スチロールをしきつめて、
水を増やす努力のたまものだという。
糸トンボが飛び交う、
静かな沼に
心平も聞いたカエルの声がこだまする。(写真は昨年のもの) 
  
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林道を下ると、
ところどころに
行くあてのない
除染の袋が痛々しい。
  
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それでも昨年は荒れ地にひなげしが咲いていた場所にも水が引かれ、
田んぼが少しずつ息を吹き返していた。
  
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川内村は
福島第一原子力発電所の西30㌔圏内に位置し、
一時期は全村避難の憂き目にあったが、
2012年1月
他の自治体に先駆けて「帰村宣言」を行った村だ。
静かな村には、
初夏のここちよい風が流れ、
洗濯物がところどころはためいている。
  
自然と人間。
産卵といえば20代に沖縄に住んでいた頃、
どうしてもサンゴの産卵をみたくて、
毎晩夜10時に環礁に通い詰めていたときのことを思い出す。
温暖化前の沖縄のサンゴは
いたるところに
これでもかというほどに敷き詰められ、
圧倒的な産卵だった。
あれも6月。
幼いころに見た、セミの羽化のあざやかさ。
あれは7月だったか。
  
圧倒的な自然を前に
言葉をうしない、
しばし涙ぐみそうになる。
感傷の涙ではなく、
感謝の涙、
ともに暮らす、
ありがたみを受け継いでゆける涙にしたい。
  

 

6、7月の土曜日の診察は、

Posted in お知らせ on 6月 6th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

6、7月の土曜日の診察は
6月7日、
7月5日、
7月26日に行います。
     

他の土曜日は休診になります。
ご迷惑をおかけしますが、
よろしくお願い致します。

福島と沖縄の友情

Posted in ブログ on 5月 17th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

沖縄の副県知事をされている、
高良倉吉氏がいわきに来られるということで、
懇親会に参加させていただいた。
氏は、明日には沖縄に戻り、国際問題の会議もあるという忙しさだが、
昨日は福島県庁にて、ひきつづき震災後の沖縄県からの支援の継続を約束してくださり、
本日は、富岡地区を主に視察され、今宵は沖縄を愛するいわき市民、いわきに在住する沖縄県民が集い、
酒宴とあいなった。
  
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氏は、沖縄県でも伊是名島という離島の生まれで、
震災後、いわきに在住されている名嘉幸照氏と同郷であり、
私が敬愛する版画家、名嘉睦稔氏も同じ島の、しかも同じ勢理客という集落の生まれということなのだ。
名嘉幸照氏は、日本屈指の原子力発電所の建築、メンテナンスの技術者で、40年来富岡で、原子力発電の安全を見守ってこられた方だ。
震災後まもなくから3年を過ぎたいまも、事故の収束、廃炉に向け、八面六臂の活躍をされている。
最近上梓された著作のなかで彼は、先の大戦で、日本の犠牲になった沖縄と、いまの福島の状況が酷似していることを伝え、
単なる、負の遺産としての類似だけではなく、いまこそ沖縄と福島が手を取り合って、
負からはじまったとしても、逆転の発想で、将来を切り拓いてゆけるはずだと伝えている。
    
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高良氏は、琉球大学の名誉教授をされ、
琉球の文学や、琉球史の研究を専門とされる。
我がいわきの銘酒「又兵衛」をうまいと飲んでくださり、
これからの沖縄や福島の抱える問題、向かうべき未来を話してくれた。
福島-沖縄を結ぶ、定期航路の復活。
いまだに沖縄に避難中の方々の話。
福島の子供たちが、沖縄の文化に触れる企画の継続。
逆に沖縄の子供たちが、東北の文化に触れてもらう計画。
私にしても、沖縄で過ごした時間は長く、
第二の故郷ともいえる沖縄と、福島をつないでゆく仕事をしたいと思っている矢先でもあり、
楽しく、うれしい時間だった。
江戸時代、福島から沖縄にたまたま渡り、
じゃんがら念仏を琉球に伝え、エイサーの起源とされる、
袋中上人の築いた菩提院の住職さんとも、又兵衛を酌み交わすことができた。
もちろんいつもお世話になっている、
沖縄料理店のアンマーと、ネーネーとも。
  
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沖縄の海は、美しい。
生命にあふれているから、私もしばしば訪れる。
でも福島の海と森だって、本来負けないくらい美しいのだ。 
  
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診察室に飾ってある、名嘉睦稔氏のこの版画は、
伊是名島の大いなる海が、原景だ。
基地にせよ、原発事故にせよ、
故郷を追われた悲しみはそう簡単に消えるものではないが、
私たちの原景はひとつであり、
この絵を過去から未来への窓として、
誰もがつながってゆきたいと思う。 
  

  

5月の土曜日の診療は、

Posted in お知らせ on 5月 10th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

5月の土曜日の診療は、
10日に行います。
    
17、24、31日は、
休診となります。
ご迷惑をおかけしますが、
どうかご了承願います。

なお、
6月は7日、
7月は5日、26日の土曜日に診察を行う予定です。
よろしくお願い致します。

夜ノ森のさくら

Posted in ブログ on 4月 22nd, 2014 by ichiro – Be the first to comment

富岡生まれの臨床心理士さんが、実家の空気の入れ替えをするというので、同行した。
この時期、浜通りでも有数のさくらの名所、富岡町夜ノ森地区のさくらを観たいと思ったこともあるが、
そればかりではない。
 
人口およそ1万5千人の、全町民に避難指示が出されている富岡町の、
帰還したくても帰還できない実情を、多くの方々からお聞きするうち、
一度はこの目で何かを確かめたいと思ったのだ。
      
海沿いに位置する、JR富岡駅周辺は、
震災の爪痕を色濃く残し、
駅からのぞむ青い海原が印象的だったが、
高校時代、
毎日この駅からいわきまで通学したという臨床心理士の彼によれば、
駅から海が見渡せた記憶はないという。
   
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つまりは津波で海沿いの住宅地が流され、
加えて放射能汚染のため立ち入りも制限され、
まだ復旧が手つかずのままであるのだった。
  
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しかしながら彼の通った、
富岡一小、富岡一中は除染され、
街中の道路も補修工事がはじまっており、
まるであかりが灯ったように、
街の中央に位置するガソリンスタンドが、
営業を再開しているのには驚いた。
この街に戻ろうとする、
人々のつよい意思を感じた。
  
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夜ノ森のさくらは、
一部が帰還困難区域に指定されておりバリケードで封鎖され、
途中までしか立ち入りできなかったが、
入口から数百メートルにも及ぶさくら並木は息をのむほど、
美しく咲き誇っていた。
静かに咲く花々は、
春風に揺られ、花を散らし、
誰も通らないアスファルトに花びらをしきつめてゆく。
     
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「松が岡公園(のさくら)は平和でしたね」
富岡で生まれ育った心理士は、そう言って黙った。
確かにいわきの松が岡公園には、
幼子の駆け巡る姿がある。
        
3年という月日の長さ、
避難生活の長さを案じながらも、
しかし自然は鮮やかにそのままであり、
もう一度
人と自然が手を取り合って生きてゆくための第一歩は、
確かにいま踏み出されなければならないのだと、そう思った。

松が岡公園

Posted in ブログ on 4月 8th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

週末、松ケ岡公園の桜が、
満開の様相となった。
 
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古木は、震災によって、地面がぼこぼこになっても揺るがず、
いったい、いつから平市街を見下ろしているのかと調べれば、次のような記載に行き当たる。
     
明治40年平町議会は、日露戦争記念行事として、茶畑、麦畑と竹やぶであった矢小路台(薬王寺台)を開き、防火用水をかねた大貯水池をつくり、これを中心として桜、梅、つつじを植えました。
その後、東京大塚にあった旧城主、安藤邸内の古つつじ千本を移植し これを中心として全国からつつじの名木3,000本を集め、つつじ園と桜の名所として今日にいたっています。
   
であれば少なくとも、樹齢は100年を越えることになる。
どうりで見事なフォルムである。
しかも東京生まれだったとは。
樹肌に触れると時の流れが伝わるようだ。
   
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第2公園にいたる花道は、
ことにうつくしい。 
福島市の
花見山にだって負けてはいない、
とひいきめに思う。
  
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幼稚園の頃、
当時あった公園内の食堂に友人が住んでいて、 
毎日のように遊んだ公園だ。
誰のこころにも、その人の花、さくらがあるのだと思う。
震災後、
半分が帰還困難地域となってしまった富岡町、夜ノ森のさくらも見事に咲きはじめているのだろう。
避難されている方々が、松ヶ岡公園のさくらも、きれいですね。
と言ってくれることを、複雑な思いのなかながら、うれしく思う。
  
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4月の土曜日の診察は、

Posted in お知らせ on 4月 4th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

4月の土曜日の診察は、
12日に行います。

5日、19日、26日は休診となります。
ご迷惑をおかけしますが、
よろしくお願い致します。

さくら開花しました

Posted in ブログ on 4月 3rd, 2014 by ichiro – Be the first to comment

4月1日はこれまでの寒さがうそのように晴れ渡り、
いわき市でもさくらの開花宣言が出ました。
 
  
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東北で最初となる
さくらの知らせは、
寒い時期を耐え抜いたつぼみが一斉に花開き、
この時期ばかりは、
特に寒かった冬の日々から
ようやく解放されるよろこびを感じ、
気持ちも浮き立つ。
  
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さくらはあまり香らないと思っていたが、
鼻を花弁に近づけると、
いままさに開こうとしている蕾の部分は、
とてもよい香りがした。
  
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花粉症の鼻水をすすりながらではあるが、
クリニック裏の松が岡公園を歩く。
昭和の時代から変わりのない、
太い幹のさくらが今年も、
しっかりと咲いている。

3月11日

Posted in ブログ on 3月 12th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

3年が過ぎた。
    

あの日、
被災した舞子浜病院前の海は、
何事もなかったように、
青く輝く。
  
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いまもなお、
仮設暮らしの生活がつづき、
よほど張り詰めていたのだろう。
喪ったものごとの大きさから、
いまになって、
はじめて心身の異常を来たす方々も多い。
    
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外勤の帰りに
久ノ浜に立ち寄ると、
鎮魂の花火が行われていた。
    
まだまだ寒い海風の夕暮れ、
地元の小学生なのだろうか。
子どもたちが、
津波被害に遭ったむき出しの土地で、
花火が打ちあがるたびに、
歓声をあげる。
まずは大人たちの用意した、手作りの仕掛け花火だ。
月と、木星、星々がすべての様子を見守っている。
    
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想像を超える苦しみに見舞われた土地で、
しかし子供たちの歓声が澄み切っていて、
ちょうど打ち上げ花火の残像のように
耳に残った。
  
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「ありがとうございました」
最後の花火が打ち上げ終わると、
護岸に陣取る花火師たちに、
お礼を述べる。
頼もしい声だ。
希望という言葉をやすやすと使うつもりはないが、
このいわきの地が、
子どもたちの成長を見守り続けられる場所であることだけは、
失いたくない。

障がい者雇用に関するシンポジウム

Posted in コラム on 3月 10th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

2月22日はいわき市障がい者職親会が主催する、
第17回いわき地区障がい者就労支援セミナー、
シンポジウムに参加しました。
   
実際に就労している方々の苦労や、
雇用が継続でき、周囲に理解され、
働くことのできるよろこびの声を直に聞くことができ、
働く、
ということへの、
責任と、達成とが、
社会のなかで生きてあるという充実に、
直截つながる感覚であることを、
改めて思いました。
  
文化センターの会場には、
マルトやハニーズなど、
いわき市における障がい者雇用の推進をリードしてくださる企業の担当者や、
支援センターふくいん、けやき作業所、わくわく作業所など、
いつもお世話になっているNPOの方々も多く参加され、
顔の見える連携が、
今後も充実してゆくことを願います。
  
私にしても、
週に3日、
けやき作業所のお弁当にお世話になり、
杜のドーナツも、お豆腐も、納豆も大好きですね。
                           

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先週3日のお弁当。
大好きなカキフライも入っているではないか。しかも混ぜご飯。
ひなまつりの華やぎに、
わずかの昼休み時間ながら
気持ちが踊る。
    
ありがたいです。
  

     

3月の土曜日の診察は、

Posted in お知らせ on 3月 7th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

3月の土曜日の診察は、
15日に行います。

1、8、22、29日は休診となります。
ご迷惑をおかけしますが、
よろしくお願い致します。

雪かき、雪割り、雪投げ

Posted in ブログ on 2月 16th, 2014 by ichiro – Be the first to comment

2月9日に3時間かかって、
取り除けなかった駐車場の雪を、
11日に再度、チャレンジ。
 
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しかし雪はスケート場なみの氷の板で、
雪かきというより、
雪割りの様相。
アスファルトと、
氷の板のあいだにスコップを差し込み、
テコの原理で跳ね上げ、
氷板を割ることのくりかえし。
割った板は、
放り投げ、
粉々にして、
隅に寄せる。
 
一気に身体以上にもなる、
大きな板に割れ、それを持ち上げ、投げ捨てると、
一息にアスファルトの面積が広がるからうれしくなる。
がハンマー投げ室伏の気分でエイヤっと投げると、
ひとつの雪板が重ければ重いほど、
両腕と腰は悲鳴を上げる。
   
途中、建築現場での経験の長い、
Aさんが通りがかり飛びいりで手伝ってくれ、
彼が、左手をくの字に曲げ、
腰を入れ、上方から氷面にスコップを突き立てると、
面白いように次々に氷は割れ、
アスファルトの面積は加速して増えていった。
  
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予期せぬ助っ人、
ありがたし。
昨日は昨日で診察中に、家族を車に乗せて来院された旦那さんが、
この雪割りを手伝ってくれた。
ほんとうに、感謝です。
   
普段あいさつもあまりなかった、
隣近所で、
いっせいに雪かきに精を出す連帯感から、
雪かきはつらかったけど、
自信になったと、
対人不安の患者さんも言ってくれた。
そんなありがたみを思いつつ、
雪を投げ飛ばす。
腰をさすりさすり。 
 
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すると
雲間から
夕の太陽が氷を溶かし、
これまでスコップの刃がたたなかった部分にも割り進めるチャンスが生まれる。
もうひとがんばり。
  
2時間のつもりが3時間半。
ようやくほぼすべての部分のアスファルトが見え、
吉野屋の牛丼を買って帰った。 
 
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さらなる雪の予報には
ギクリとするが、
来るならまた来てみなさいと。
牛丼を頬張る。